ホーム > 腎臓が悪いと言われたら
健康診断で、「腎機能低下の疑い」と言われても、症状もないのでそのままにしているといったことはありませんか?
腎臓が悪くなった状態の慢性腎臓病は、特に初期で自覚障害があることはほとんどなく、自覚症状が出たときには、すでに末期だったということが少なくありません。
腎臓病かどうか、チェックするには?
腎臓の働きは、採血でクレアチニン(以後、Cre)を用いて換算した推定の糸球体濾過量であるeGFRcre(ここでは、eGFRと記載することにします。)で評価されます。ただし、クレアチニンは筋肉の代謝産物の一つですから、一概に「クレアチニンが高い(eGFRが低下している)」=「腎機能が低下している」とは言い切れません。
筋肉量に左右されるため、より正確に評価するには採血でのシスタチンCを用いたeGFRcysで評価が妥当です。一方シスタチンCは、ある程度の腎機能低下が進んだ人の経過を見ることにはあまり適しておらず、主に「クレアチニンが高いが、実際には腎機能障害がないか」を評価する目的で使用されます。より正確には、蓄尿検査から算出されるクレアチニンクリアランスを用いますが、評価には手間がかかります。
二人の腎臓の機能は同じでしょうか?
同じクレアチニンでも
人によって意味が違います。
慢性腎臓病(CKD)とは・・・
慢性腎臓病は、「3か月以上続いている尿異常や採血での腎機能低下(eGFR 60以下)が明らかである」のことを言います。現在、CKDの方は日本国内に約1300‐1500万人いるとされており、20歳以上の成人7-8人に1人に値することが予測されており、国民病の一つです。
その原因は多岐に渡りますが、高血圧や糖尿病などは最も多い原因です。他には加齢、腎炎や膠原病、遺伝性や薬剤、過度の肥満や低出生体重などが知られています。
いずれにしても、早期の段階での腎臓内科医に受診したうえで血液検査や尿検査・画像検査(超音波やCT等)、場合によって腎生検まで含めた専門的な診断が非常に大事になります。
まずは、かかりつけの先生に
ご相談してください。
尿検査は腎臓の異常を見つけるのに重要です
尿検査をすることで、いまの腎臓の状態をより正確に把握し、
治療に繋げることが出来るはずです。
腎臓病は進行したら、腎機能が改善することは難しい。
ステージ1・2 | eGFR 60-90~それ以上 | 正常 |
---|---|---|
ステージ3a | eGFR 45-60 | 自覚症状はほとんどありません。 |
ステージ3b | eGFR 30-45 | あまり症状はありませんが、貧血が見られる方が散見されます。そのため疲れやすさや、倦怠感などの症状を訴える方もいらっしゃいます。 |
ステージ4 | eGFR 15-30 | 高血圧や体の浮腫み、頻尿などが出始めます。 |
ステージ5 | eGFR 15未満 | 末期腎不全に伴い、呼吸困難、意識障害、食欲低下等、薬で改善が出来ない程の症状があります。腎代替療法(透析や移植)が必要です。行わなければ、死亡に至ります。 |
透析期 | 様々な合併症に対し、きちんとした透析管理が大事です。 |
慢性腎臓病の進行と治療
※年齢やPSも関与します。
※食事や運動療法は全てのステージで重要。
※eGFR値 … 推算糸球体ろ過量
血清クレアチニン値と年齢・性別を用いて算出し、腎機能の指標として使われます。
NPO法人 腎不全サポート協会 腎不全とその治療法より引用
慢性腎臓病(CKD)透析予防指導外来
2024年から新設された透析の新規導入を減らすことを目的とした専門的な医療介入を行う専門外来です。当グループでも開始しました。適応になるのは、透析へ進行する可能性の高い腎臓病の方が対象です。
これまで行ってきた医療を基本として、より専門的に、専門の資格を有する看護師や栄養士など多職種での治療介入を行っています。
より多くの患者さまに福音となれば、幸いです。